不動産売却で確定申告は必要?基本知識と必要なケースを解説
不動産を売却すると、確定申告が必要な場合があります。確定申告は年間所得に基づき税額を調整する手続きで、申告期限は翌年2月16日から3月15日までです。
売却で利益が出た場合は譲渡所得税の申告が必要で、特例を利用すると税額が軽減されますが、申告は必須です。譲渡損失がある場合も特例を受けるには申告が必要です。
目次
不動産を売却する際に確定申告は必要か?
不動産を売却した場合、確定申告が必要になることがあります。こちらでは、大田区と品川区で不動産売却をご検討中の方のために、確定申告の概要と不動産売却で確定申告が必要になるケースをご紹介いたします。
◇確定申告とは
1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて所得税を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などと照らし合わせて過不足を精算する手続きのことです。確定申告が必要な理由は、日本の所得税制度が「申告納税制度」を採用しているためです。
1年間の所得に対して予定納税額や源泉徴収税額が多い場合は税金の還付が受けられ、逆に少ない場合は不足分の税金を納めなくてはいけません。
年末調整で適用できない控除を受ける場合も、確定申告が必要です。申告期限は原則として、対象となる年の翌年2月16日から3月15日までです。もし申告期限が土日に当たる場合は、次の平日が期限となります。
所得税の納付期限も、原則として申告期限と同じ3月15日までですが、期限日が土日であれば翌営業日が納付期限になります。
◇不動産売却で確定申告が必要な場合
購入時より土地や物件の価格が上がり、売却によって利益が出た場合には譲渡所得税の納付が必要となり、確定申告を行わなければなりません。
譲渡所得に関する特例を利用すると税額が安くなりますが、この場合にも確定申告が必要です。譲渡所得の発生時期は売買契約が成立したときではなく、引き渡しのときです。
例えば、売買契約が2023年12月30日、引き渡しが2024年3月15日の場合、確定申告は2024年に行います。不動産売却で損失が出た場合は、確定申告をする必要はありません。
ただし、「マイホーム買い換え時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」または「マイホーム売却時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用し所得税や住民税を軽減する場合は、確定申告が必要です。
確定申告を忘れるとどうなる?
画像出典:フォトAC
確定申告を忘れると、税務署が不動産売買の記録から調査を行い、お尋ねと呼ばれる問い合わせが来る場合があります。これに正確に対応しないと、税務調査に発展する可能性があります。
また、無申告加算税や重加算税、延滞税などの罰金や追加税金が課されるリスクがあるため、確定申告は期限内に必ず行う必要があります。
◇税務署の調査
確定申告を忘れると、まず税務署による調査を受けます。不動産売買は法務局に所有権移転の記録が残るため、税務署はこれをもとに家が売却されたことを把握できるからです。
売却にもかかわらず確定申告がされていないと、譲渡所得が発生している可能性のある取引について調査が行われ、お尋ねと呼ばれる郵送物または電話が来ます。
お尋ねの問い合わせには正確に回答しなくてはいけませんが、返答しないと税務調査に発展する可能性があります。
◇罰金や追加の税金
確定申告が必要にもかかわらず、確定申告を忘れるとペナルティが課せられます。罰金と追加の税金の詳細は、次のとおりです。
・罰金
無申告加算税が課税され、その金額は所得額で決まります。その計算式は以下のとおりです。
所得50万円まで:無申告加算税 = 所得金額 × 15%
所得50万円を超える部分:無申告加算税 = 所得金額 × 20%
税務署の指摘を受ける前に自主的に期間外の確定申告を実施した場合:
無申告加算税 = 所得金額 × 5%
無申告加算税には免除要件があり、一定の要件を満たせば免除されます。
・追加の税金
追加で税金を支払う必要が生じる可能性もあります。その税金は、重加算税、延滞税、過少申告加算税です。これらの税金は申告者の状況により、相当な額になる可能性があるため、確定申告は期限までに忘れずに行いましょう。
特別控除の特例で税金がかからない場合も
譲渡所得税は、不動産を売却した際に得た売却益をもとに計算しますが、実際に支払う税額は適用する特別控除の特例や、不動産の保有期間によって異なります。
マイホームを売ったときの特例を適用すれば3,000万円まで無税になり、保有期間が5年を超えると税率が下がります。
◇3,000万円まで税金がかからない
自宅を売却した場合は、マイホームを売ったときの特例を適用できます。これにより、3,000万円まで無税にすることが可能です。特例を適用するためには、必要要件を満たさなくてはいけません。
特例が適用される住まいは、現在自分が住んでいる住まい、過去に自分が住んでいて配偶者の家族などが住んでいる住まいなどです。ただし、譲渡する相手が配偶者や直系血族、同一生計の親族などの場合は、この特例は適用されません。
さらに、特例を受けることを目的として入居した場合や、仮住まいとして使用している場合も同様です。加えて、原則、他の特例との併用はできず、前年または前々年に同じ特例やマイホームの買換えの特例を受けている場合も適用されません。
◇所得税と住民税は保有期間で異なる
譲渡所得税の税率は、所有期間によって異なります。これは、不動産の転売を抑制するためです。譲渡所得税は所有期間が5年以下は短期譲渡所得、所有期間が5年以上は長期譲渡所得となり、短期譲渡所得税率は、所得税が30%住民税が9%、長期譲渡所得税率は、所得税が15%住民税が5%です。
5年を境に税率が約半分になるため、売却を検討している物件の所有年数の確認が非常に重要です。
確定申告に悩んだときの相談先
確定申告をしたことがないと、確定申告の仕方が分からないと悩む方も少なくありません。確定申告のやり方は、確定申告の手引きやインターネットで調べられますが、不動産会社、税務署、国税庁電話相談センターなどに相談することも可能です。
◇不動産会社
不動産会社は、査定から始まり、広告宣伝、売却活動、売買契約書作成、物件の引き渡しまで、売却に関するほぼすべての工程をサポートしてくれます。不動産売却では、確定申告も大事な手続きのひとつのため、不動産会社に相談することも可能です。
しかし、不動産会社の仕事はあくまでも売却までであり、それ以外の相談への対応は不動産会社によって異なります。確定申告のサポートを希望する場合は、サポートが充実している不動産会社を選ぶか、まずは不動産会社に相談して、必要に応じて税理士や行政書士といった専門家に相談することをおすすめします。
◇税務署など
確定申告の期限や手続き方法などに関する不明点は、税務署や国税庁電話相談センターでも相談できます。税務署の対応時間は、平日の午前8時半から午後5時までですが、入場整理券の配付は午後4時までです。
相談料は無料ですが、電話の場合は通話料が発生し、対面での相談には時間制限がある場合があります。
不動産を売却した際には、確定申告が必要となる場合があります。確定申告とは、1年間の所得に基づいて税額を計算し、納税額を精算する手続きです。申告期限は翌年の2月16日から3月15日までで、申告期限が土日祝日の場合は次の平日が期限です。
不動産売却で利益が出た場合、譲渡所得税の申告が必要です。特例を利用することで税額が軽減できますが、申告は必須です。譲渡所得は売買契約成立時ではなく引き渡し時に発生します。譲渡損失がある場合も特例を適用するには申告が必要です。
確定申告を忘れると税務署から調査があり、罰金や追加税金が課されるリスクがあります。罰金には無申告加算税があり、所得に応じて15%または20%が課せられます。無申告加算税の免除要件もありますが、重加算税や延滞税も発生する可能性があります。
譲渡所得税には特例があり、マイホーム売却時に3,000万円まで無税となる特例や、保有期間に応じた税率が適用されます。譲渡所得税率は、所有期間が5年以下で30%、5年以上で15%です。
確定申告が不安な場合は、不動産会社や税務署、国税庁電話相談センターに相談できます。不動産会社は売却サポートを提供し、税務署や相談センターは手続きに関する情報提供を行っています。