熟年離婚とは?住居の財産分与の方法は不動産売却以外にもある!
熟年離婚は大田区や品川区でも増加傾向にあります。離婚時には住居の財産分与がトラブルの原因になりやすいですが、解決策として不動産売却などの方法があります。
離婚後にどちらかが住み続ける場合には、相手に代償金を支払う方法やリースバックを利用して売却後も住み続ける方法があり、それぞれの状況に応じた対策が求められます。
目次
熟年離婚の特徴や原因は?割合は増加傾向
熟年離婚は、結婚生活が長く続いた夫婦が50代以降で離婚に至るケースを指します。近年、熟年離婚の割合は増加しており、性格の不一致や経済的な変化が新たな離婚の課題として浮上しています。
◇熟年離婚の定義と特徴
熟年離婚とは、結婚生活が長く続いた夫婦が離婚することを指し、多くの場合、結婚から20年以上経過し、50代以上の夫婦が対象です。大田区や品川区では、子育てが一段落し、夫婦がこれからの人生について改めて考える時期に直面した際、新たな人生を模索するために離婚を選ぶことが特徴です。
こうした離婚では、既に子どもが成人していることが多いため、親権の問題はあまり発生しません。しかしその一方で、長年築き上げた財産の分与や、年金の分割といった経済的な問題が重要なテーマとして浮上します。
◇熟年離婚が起こる原因
熟年離婚は特に女性からの相談が多く、その主な理由として「性格の不一致」「精神的な虐待」「相手の不倫」「生活費を渡さない」「浪費」などが挙げられます。妻が夫との生活に苦痛を感じることが、離婚の主な原因となっています。また、若い頃から離婚を考えていたものの、子どもの独立まで我慢していたケースも少なくありません。
一方で、男性の場合、「第2の人生を歩みたい」「自宅での居心地が悪い」といった理由が熟年離婚の原因となります。
◇離婚全体に対して熟年離婚の割合は増えている
2022年に離婚した夫婦の中で熟年離婚は17万9099組に達し、過去最高を更新しました。全体の離婚件数は減少傾向にあるものの、熟年離婚は高止まりしています。その背景には、長寿化によって夫婦が老後に過ごす時間が増え、人生を再設計しようとする夫婦が増えていることが挙げられます。
1950年代の男性の平均寿命は約58歳でしたが、現在では81歳に延びました。これにより、子どもが独立した後、長い時間を夫婦で過ごす機会が増え、性格の不一致や経済状況の変化が離婚の引き金となるケースが増加しています。
熟年離婚では財産分与が課題になりやすい
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財産分与とは、婚姻期間中に共同で築いた財産を離婚時に分配することです。熟年離婚では、長い結婚生活で資産が増えているため、分与の対象となる財産や金額が大きくなる傾向があります。不動産もその対象であり、分配には慎重な判断が必要です。
◇財産分与とは離婚時に財産・負債を分配する行為
財産分与とは、離婚時に夫婦が共同で築いた財産や負債を分ける行為を指します。特に熟年離婚の場合、長い婚姻期間で蓄積された多くの財産が関わるため、その価値や分け方を巡ってトラブルが発生しやすい傾向があります。財産分与は熟年離婚において非常に重要であり、慎重な話し合いと適切な法的手続きが求められる大きな課題です。
◇熟年離婚における財産分与の特徴
熟年離婚における財産分与は、婚姻期間が長い分、対象となる財産の種類や金額が多く、通常の離婚よりも高額になることが多いです。このため、財産の分け方を巡って夫婦間で意見が対立し、トラブルが起こりやすいのが特徴になります。
さらに、熟年離婚では夫婦共に年齢が高いことから、離婚後に新たな収入を得るのが難しい場合も少なくありません。そのため、財産分与の割合や方法については、今後の生活を左右する重要な問題として慎重に考える必要があります。
◇財産分与の対象となるもの
財産分与の対象となるのは、夫婦が結婚生活の中で共同で築いた財産です。具体的には、不動産、車、預貯金、退職金、年金、生命保険などが含まれます。ただし、「特有財産」と呼ばれる対象外の財産もあります。これは、婚姻前から一方が所有していた財産や、婚姻中でも夫婦の協力とは無関係に取得した財産のことです。
例えば、婚姻前に貯めた預貯金や、親族から相続した土地や建物などが該当します。しかし、婚姻前の預貯金が結婚後に混ざって区別が難しくなるケースもあるため、注意が必要です。
◇不動産も名義に関わらず財産分与の対象
不動産の分配は、財産分与の中でも特に慎重に行うべきです。不動産は名義にかかわらず、婚姻期間中に共同で築いた財産として分与の対象となります。分配方法としては、不動産を売却して現金化し、その金額を夫婦で公平に分けるか、売却せずにどちらかが住み続ける方法があります。
住宅ローンが完済している場合は問題が少ないですが、ローンが残っている場合は、利益の分け方について話し合う必要があります。
不動産の財産分与を行う方法は3種類
不動産の財産分与は、熟年離婚において大きな課題のひとつです。主な方法には、「不動産を売却して現金化する」「どちらかが住み続ける」「リースバックを利用する」の3つがあります。
◇不動産売却により現金化して分配する
財産分与の中でも最もシンプルでわかりやすい方法が、不動産売却による現金化です。具体的には、不動産会社に売却を依頼し、買い手を見つけて家や土地を売却します。売却によって得た金額から、まず売却にかかった手数料や住宅ローンの残債を返済します。残った金額を、夫婦で公平に分けるのが一般的な手順です。
現金化により、財産分与がスムーズに進み、後々のトラブルを避けることができるため、熟年離婚などで財産の整理が必要な際に有効です。
◇どちらかが住み続ける
この方法では、夫婦の一方が家に住み続ける代わりに、もう一方に代償金を支払って財産分与を行います。例えば、夫が家に住み続け、妻が家を出る場合、不動産の評価額の半分の金額を夫が妻に支払う形です。
ただし、代償金を支払うためにはまとまった資金が必要となり、金銭的な負担が大きくなることがあります。また、住宅ローンが残っている場合、ローンの引き継ぎや名義変更など、複雑な手続きが発生することもあるため、注意が必要です。
◇リースバックを用いる
リースバックとは、売却した家を買主と賃貸契約を結び、そのまま住み続ける方法です。家を売却して現金化できるため、財産分与をスムーズに行えます。また、住宅ローンの名義変更が難しい場合でも、この方法なら家を手放さずに住み続けることが可能です。
住む側には家賃の支払いが発生しますが、持ち家を売却した上で住み続ける選択肢があるため、熟年離婚でこの方法を利用するケースが増えています。
不動産の財産分与の方法それぞれの利点とは
不動産の財産分与では、各方法の利点をしっかりと理解することで、よりスムーズで公平な財産分与を行うことが可能です。熟年離婚では、不動産の扱いが特に重要になるため、最適な分配方法を選ぶことが後々のトラブルを避ける鍵となるでしょう。
◇現金化後分配を実施する利点
現金化後分配の最大の利点は、不動産を売却して現金に換えることで、分割が容易でわかりやすい点です。不動産はそのままでは額面どおりに分割できませんが、現金にすることで公平に分配しやすくなります。
また、離婚後にお互いの不満が出にくいという利点もあります。家に愛着があったり、手放すことをためらったりするケースもありますが、不動産の売却価格が住宅ローンの残債を上回る場合、この方法は非常に有効です。
◇どちらかが住み続ける方法の利点
この方法の最大の利点は、せっかく購入した持ち家を手放さずに済み、生活環境を変える必要がないことです。熟年離婚では、長年住み慣れた家や近所に多くの友人がいることが多く、これまでのコミュニティや生活基盤を維持できます。
また、成人した子どもが帰省できる家を残すことも可能です。住み慣れた家にそのまま住み続けることで、売却による現金分配よりも、価値を感じる人も少なくありません。
◇リースバックをする利点
リースバックの大きな利点は、住宅ローンの支払いが滞った場合に家が差し押さえられ、退去を余儀なくされるリスクを避けられる点です。これにより、住み続ける側の安心感が得られます。
また、夫が住宅ローンの名義人で妻が連帯保証人の場合、離婚後に夫がローンを支払えなくなると妻が支払いを引き継ぐリスクがありますが、リースバックならこのような不安を解消できます。さらに、家を売却して現金化するため、財産分与を明確に行うことが可能です。
熟年離婚は、結婚生活が長く続いた50代以上の夫婦が離婚に至るケースを指し、最近その割合は増加傾向にあります。離婚の原因としては性格の不一致や経済的な問題が挙げられ、特に女性側からの相談が多いです。
熟年離婚において重要な課題となるのは財産分与です。長期間にわたり築かれた財産の中でも、不動産は名義に関係なく分与対象となり、売却して現金化するか、どちらかが住み続ける方法が一般的です。リースバックを利用する選択肢もあり、それぞれの方法には異なる利点があります。