不動産売却と防犯・セキュリティ対策:内覧時の注意点

不動産を売却する際、多くの方は「早く売りたい」「できるだけ高く売りたい」という点ばかりに注目しがちです。しかし、売却活動を行うなかで、防犯面やセキュリティをしっかりと確保することも非常に重要です。
特に、内覧時には見知らぬ人が物件を訪れるため、空き家になっている物件や居住中の物件を問わず、さまざまなリスクが潜んでいます。実際、内覧を装った不法侵入や盗難、物件内部の損傷などが報告される例もあり、対策を怠るとトラブルや不測の被害につながる可能性があります。
本記事では、不動産売却とセキュリティ対策という観点から、売り主がどのように物件や自身の安全を守るべきかを解説します。まずは「防犯上のリスク」として、空き家時の不法侵入や内覧者チェックの重要性を説明し、続いて「対策方法」では鍵の管理やセキュリティカメラ、不動産会社との連携など、具体的な防犯策を紹介します。
不動産の売却活動を円滑に進めるためにも、トラブルを未然に防ぐ視点を身につけ、買主との交渉や内覧への対応をしっかり行いましょう。
目次
防犯上のリスク

不動産を売却する際には、物件の広告掲載や内覧の実施によって多くの人が物件情報にアクセスしやすくなります。一方で、それに伴い不法侵入や窃盗などの犯罪リスクが高まることも無視できません。
とくに空き家状態になっている物件や、多数の内覧者を同時に受け入れるオープンハウスなどでは、防犯対策を怠ると大きなトラブルを招く可能性があります。
ここでは、「空き家時の不法侵入」と「内覧者チェック」の二つの観点から、具体的にどのようなリスクが存在するのか、またどのように備えるべきかを詳しく見ていきます。
空き家時の不法侵入

物件を売りに出して住人が退去すると、建物が空き家の状態になります。人の出入りがなくなり、地域住民から見ても「空き家」であることが明白になると、悪意を持った人物のターゲットになりやすいです。以下では、空き家状態で生じやすい典型的なトラブルを紹介します。
1.空き巣や窃盗被害
•空き家は、長期間住む人がいないため、外部から見て留守が分かりやすいのが最大の弱点です。施錠が甘かったり、物件周囲の目が行き届きにくかったりすると、犯罪者が侵入しやすい物件と判断します。
•家具や備品、あるいはまだ残している私物などが盗まれたり、室内を荒らされたりするリスクがあります。特に売り主が転居先で忙しく、物件の管理が後回しになってしまうと、知らぬ間に被害を受けているかもしれません。
•物件の売り文句で「空き家のため即入居可」と大きく強調している場合、買い手を呼び込みやすい反面、犯罪者にも“人がいない物件”と認知される恐れがあるため、防犯策を徹底する必要があります。
2.不法占拠やごみ捨て場化

•誰もいない空き家を拠点にして、勝手に住みつく人が現れるリスクがあります。いわゆる“不法占拠”であり、一度居座られると退去を求めるために弁護士や警察の力を借りるなど、多大な時間と費用を要する場合があります。
•周辺住民が勝手にごみを捨てたり、廃材を置いていったりしてゴミ捨て場化するケースも報告されています。ひとたび不法投棄が始まると汚れや悪臭が発生し、売却活動どころか物件価値そのものを下げる結果につながりかねません。所有者が気づかず放置してしまうと、近隣から苦情が来ることもあります。
3.建物への損傷や設備の破壊

•侵入者が壁に落書きをしたり、設備を故意に壊したりする行為におよぶことも否定できません。空き家は見られていないと思われやすく、いたずらや器物損壊のターゲットになる可能性があります。
•売り主が売却前に修理しなければならなくなると、予定外の出費や売却スケジュールの遅延が発生します。特に、床や壁紙が破損すると印象が悪くなり、売却価格を大幅に下げなければならない場面もあるでしょう。
空き家リスクへの基本対策

•定期巡回: 売り主自身や信頼できる知人、不動産会社のスタッフが定期的に物件を見回り、防犯状態をチェックするとともに、窓や扉がしっかり施錠されているか確認する。
•防犯設備の活用: 監視カメラや人感センサーライトを設置すると、不審者が近づきにくくなります。最近はスマホ連携のセキュリティカメラが増えており、コストも比較的抑えやすいです。
•周辺住民への情報共有: 売りに出していることや、しばらく空き家状態になる旨を近隣住民に伝え、何か異変があれば連絡してもらえるようにお願いしておくと、防犯効果が高まります。
空き家の場合、売り主が遠方に住んでいることも多く、こまめな管理が難しいケースがあるかもしれません。そうした場合は、不動産会社に物件管理サービスを依頼したり、巡回を請け負ってくれる業者を探したりすることも視野に入れると良いでしょう。
内覧者チェック

内覧時には、本来「購入希望者」が物件を見学するという前提がありますが、やはり不審者や盗難目的の人が紛れ込むリスクをゼロにはできません。特にオープンハウスなど多数の人が一度に訪れる方法では、人手が足りずに監視が行き届かないと、思わぬ被害を受ける恐れがあります。
ここでは、内覧者をチェックするための具体的なポイントを紹介します。
1.内覧予約者の身元確認

•通常の仲介取引では、不動産会社が事前に問い合わせを受け、買主候補の連絡先や名前を記録しています。売り主は直接買主を管理しなくても、基本的には不動産会社が一定のフィルタをかけていると考えられます。
•個人間取引やフリマサイト的な手法で売却を進める場合、内覧希望者が本当に買う意思を持っているかを見極めるのが難しくなります。身分証提示や連絡先の確保などを実施すれば、不審者の侵入を未然に防ぎやすくなります。
2.内覧時の同行と分散防止

•居住中であれば、売り主が部屋を案内しながら内覧を行うことが一般的です。複数の見学者が同時に来たときに、1人がキッチンで話しかけている隙に、もう1人が寝室で物色するなどの手口があるため、できるだけ目を離さないようにする必要があります。
•空き家の場合でも、不動産会社の担当者が同行し、内覧者を一緒に回る形にすると、安全度が高まります。玄関ドアやベランダへの出入りもしっかりチェックし、余計な設備を触らせないよう意識すると良いでしょう。
3.貴重品や私物の管理

•不要な貴重品や個人情報が記載された書類(銀行通帳やパスポートなど)は物件に置かないのが原則です。見つかれば盗難や個人情報流出につながり、後々大きなトラブルになるかもしれません。
•チラシや郵便物の宛名などにも注意しましょう。売り主のフルネームや住所が書かれた書類が散乱していると、内覧者に個人情報を把握されるリスクが高まります。
•携帯電話や財布なども一時的に鍵付きの棚や持ち歩きで管理しておくと安心です。内覧中にうっかりテーブルに置いて外に出てしまうと、戻ったときに消えていたという最悪の事態が起こり得ます。
4.オープンハウスのリスク管理

•オープンハウスは、多くの潜在買主が一度に物件を見に来てくれるため、売却スピード向上に有効ですが、不特定多数が来場するためセキュリティ面では最もリスクが高いといえます。
•玄関での来場者登録(名前や連絡先の記入)、複数のスタッフを配置して室内を見回る、貴重品を一切置かないなど、十分な体制を整える必要があります。
•物件が広い場合や部屋数が多い場合、特に子ども連れの来場者が増えると部屋を分散して見ることが多くなるため、防犯カメラやスタッフ間の連携で対応していきましょう。
内覧者チェックのメリット

•トラブル未然防止: 盗難や不法侵入などの犯罪行為を大きく抑止でき、売り主や物件の安全を確保できる。
•買主の安心感向上: しっかり管理された内覧体制を見て、「この物件はセキュリティ意識が高い」「トラブルが少なそう」と好印象を持たれる場合もある。
•スムーズなコミュニケーション: 内覧者の意図を正しく把握できれば、値下げ交渉などの場面でも、きちんと条件をすり合わせやすくなる。
防犯上のリスクへの対応まとめ

1.空き家状態の物件は、不法侵入や損傷被害、ごみ捨て場化などのリスクがあるため、定期的な見回りやセキュリティ設備の導入を検討することが大切です。
2.内覧時は、身元確認や同行、私物の管理などを徹底し、不審者による被害を防ぎましょう。オープンハウスで多数の来場者を受け入れる場合も、スタッフ配置やカメラ設置などを行うと安心度が高まります。
3.不動産会社との協力: 防犯対策を単独で行うのは難しい場合、信頼できる不動産会社と連携し、内覧者の情報管理や定期巡回などのサポートを得ると安全面を強化できます。
不動産売却では、どうしても売り主が「売りたい」という思いから防犯対策を後回しにしがちですが、実際には小さな油断が大きな被害につながりかねません。物件と自身を守るために、セキュリティの意識を高め、必要な行動を早期に取ることが重要です。
安全確保で安心取引実現

不動産売却を進めるにあたっては、物件を多くの人に見てもらうための情報公開が不可欠ですが、その一方で防犯面のリスクも高まります。空き家状態の物件は、不法侵入や不法占拠、ごみ捨てなどの被害を受けやすく、定期的な巡回や防犯設備の整備が欠かせません。
内覧時にも、身元確認や同行を徹底し、悪意を持った人が紛れ込まないようにする工夫が必要です。特にオープンハウスでは、多数の来場者が同時に出入りするため、スタッフを増やして監視体制を整えるなどの対策を講じることが望ましいです。
こうした防犯対策をしっかり行うことで、売り主自身が安心できるだけでなく、買主にも「きちんと管理された物件」という好印象を与えられます。安全でトラブルのない売却活動を行うために、早い段階から不動産会社や専門家の力を借りつつ、物件や内覧時のセキュリティを確保し、円滑で満足度の高い不動産取引を目指しましょう。
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対策方法

不動産売却を進めるうえで、防犯面のリスクが懸念される場合には、具体的な対策を講じることで安全を確保しつつ、売却活動をスムーズに進めることができます。
前章で紹介したように、空き家状態での不法侵入や内覧時の盗難などは、実際に起こり得るリスクとして認識しておく必要があります。
本章では、「鍵管理・セキュリティカメラ」と「不動産会社との連携」という二つの視点から、売り主が実践すべき具体的な対策方法を解説します。物件の安全を守りながら、買主との取引を円滑に行うために、できることは意外にも多いのです。
鍵管理・セキュリティカメラ

空き家や居住中を問わず、物件の安全性を確保するために、まず強化したいのが鍵の管理とセキュリティカメラの導入です。
どんなに立地や価格が魅力的でも、犯罪に遭ったりトラブルが多発したりする物件では、買主の購買意欲は下がる可能性があります。ここでは、具体的な実践ポイントを見ていきます。
1.鍵管理の徹底
1).鍵の複製・貸し借りを制限する
売り主や不動産会社が鍵を雑に扱っていると、第三者が鍵の複製を作り、不正侵入を企てるリスクがあります。複数の不動産会社に依頼している場合、どこが鍵を持っているかを明確にし、鍵の貸し借りを最小限にとどめることが必要です。
2).スマートロックの活用

近年は、スマホアプリから鍵の施錠・解錠を管理できるスマートロックが普及しています。遠隔操作で鍵を開け締めできるため、内覧時に立ち会いが難しい場合でも、不審者が勝手に侵入するリスクを減らせます。また、解錠履歴が残る機種もあり、誰がいつ入室したかを把握しやすいのがメリットです。
3).鍵の置き場に注意
屋外の郵便受けやメーターボックスなどに鍵を保管するのは危険です。万一、買主候補が物件を見学した際に鍵の隠し場所を見てしまうと、悪意を持った人が後で侵入する可能性が高まります。必ず手渡しで受け渡すか、不動産会社の店舗で保管してもらいましょう。
2.セキュリティカメラの導入

1).防犯カメラの効果
屋外や玄関付近にカメラを設置すると、「録画されている」と認識させるだけでも抑止力となり、不審者が近づきにくくなります。また、実際に何らかの被害があった場合でも映像が証拠となるため、警察への通報や保険請求がスムーズに進むことがあります。
2).室内カメラで内覧時のトラブルを軽減
内覧中に室内が荒らされたり、持ち去りがあったりするのを防ぐため、簡易的な室内用カメラを設置する方法も検討するとよいでしょう。買主によっては抵抗を感じる人もいるため、録画をする際には事前に「防犯目的でカメラがあります」と告知する必要があります。
3).スマートカメラの活用

インターネットに接続できるスマートカメラなら、スマホでリアルタイム映像の確認が可能です。空き家の状態でも離れた場所からチェックでき、万が一不審な動きがあればすぐに警察や知人に連絡できます。ただしネット環境が必要になるため、その点の整備も考慮してください。
鍵とカメラで得られるメリット

•侵入を未然に防ぐ効果: 鍵が厳重に管理され、カメラが設置されている物件を狙う犯罪者は減る傾向があります。「手口がバレやすい」と察知されるためです。
•万一の際の証拠確保: 侵入や盗難が起きてもカメラ映像があれば加害者特定の可能性が高まり、警察や弁護士への対応がしやすくなります。
•買主の安心感: 防犯体制が整っている物件は、「この物件は安全」と買主にも好印象を与えるかもしれません。特に治安面を気にする層に訴求効果が期待できます。
不動産会社との連携

不動産売却において、セキュリティ対策を1人で行うのは非常に大変です。特に空き家の場合、住人が頻繁に見回りをすることが難しく、防犯体制が手薄になる恐れがあります。そこで、不動産会社や関連専門家と連携し、チームとしてセキュリティを確保する方法が効果的です。
1.不動産会社のサポート内容
1).鍵の管理と内覧対応
不動産会社は、複数の物件を管理するノウハウがあるため、鍵の保管や内覧の立ち会いを行ってくれます。希望に応じて、内覧希望者に不動産会社の店舗へ行って鍵を受け取り、担当者が必ず同行するよう指示する方法も可能です。
一般的に、媒介契約を結んだ不動産会社が内覧のスケジュールを調整し、希望者の身元や意図をある程度フィルタしてくれることが多いです。売り主がセキュリティに不安を抱えている場合、厳密に予約管理をしてもらえるか相談しましょう。
2).物件巡回や防犯サービス

一部の不動産会社は、空き家や売却物件に対して定期巡回サービスを提供しています。月に数回、スタッフが物件をチェックし、鍵の確認や郵便受けの整理などを行うプランがあるので、遠方に住む売り主にとってありがたい仕組みです。
こうしたサービスを利用すれば、空き家でも常に人の目が入っている状態を保ちやすく、不法侵入やゴミ捨てなどを早期に発見・防止できます。
2.専門家との連携
1).セキュリティ業者
大手の警備会社と契約すれば、空き家の警備システムを導入し、侵入検知や異常時の警備員派遣などを行ってもらえます。月額費用はかかるものの、高価な物件や長期の売却を予定している場合には安心材料となります。
2).リフォーム会社や清掃業者

万一、侵入者が汚損や破壊行為をした場合でも、迅速に修繕やクリーニングを行える体制を整えておけば、売り出し価格を維持しやすいです。普段から信頼できるリフォーム会社を知っておけば、緊急事態にも対応がスムーズです。
3).売り主・不動産会社間の情報共有
•内覧のスケジュールや来訪者の情報は、不動産会社から売り主へ逐一共有されるのが望ましいです。「いつ、どんな人が内覧に来るのか」が不透明だと、セキュリティ面でも不安が残ります。
•売り主からも、「現在の施錠状況」や「物件の設備トラブル」などをこまめに不動産会社に伝え、担当者が内覧時に把握できるようにしておきましょう。トラブルがあればすぐに協力して対処する体制を築くことが大切です。
不動産会社との連携によるメリット

•専門知識の活用: 不動産会社は多数の売却事例を経験しており、防犯面のノウハウも蓄積されています。個人での手探りよりスムーズに対策を講じられます。
•時間と手間の節約: 物件巡回や内覧対応を不動産会社が担うことで、売り主が他の業務や生活に集中できるメリットがあります。
•買主の信頼感: 不動産会社を通じて内覧や契約が行われると、買主も「管理がきちんとしている物件だ」と感じやすく、安全性や取引の透明性が高まります。
防犯対策で安全かつスムーズな売却を

1.鍵管理・セキュリティカメラ
•空き家の場合は特に侵入リスクが高いため、施錠の徹底やスマートロックの検討、防犯カメラの設置などを行いましょう。
•居住中でも、カメラやスマートロックを活用すれば安心度を高められます。内覧時のトラブル軽減や抑止力として有効です。
2.不動産会社との連携
•鍵の保管や内覧スケジュールの管理、定期巡回サービスなど、プロの手を借りることで売り主の負担が軽減され、防犯面でもプロのノウハウを活かせます。
•専門家との連携を深めることで、空き家やオープンハウスなどリスクの高い局面でも安全対策をしっかり講じることが可能になります。
3.買主へのアピール効果

•防犯対策を整えている物件は、買主にとって「管理が行き届いている」「安心して住める」と好印象を与えます。
•価格交渉の際にも、“セキュリティ面の投資”が買主の満足度につながり、値下げ交渉を抑えられるケースも考えられます。
防犯対策を万全にすることで、売り主自身の安心と、買主の信頼感を高めることができます。複数の対策を組み合わせてこそ、リスクを最小化してスムーズな売却活動を実現できるでしょう。
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まとめ:安全確保で安心取引実現

不動産売却を行う際には、早期の成約や高値売却に気を取られがちですが、防犯面を強化することも同様に重要です。
空き家は不審者による侵入やゴミの不法投棄、不法占拠などのリスクが高まりやすく、室内や設備を破壊されると修繕費や売却期間の遅延といった損失を被る恐れがあります。内覧時には、複数の来場者が同時に押し寄せるオープンハウス形式でのトラブルや、身元が不明瞭な内覧者による盗難を防ぐためにも、事前の身分確認やスタッフの配置が欠かせません。
こうした危険を回避するために、鍵管理の徹底やセキュリティカメラの設置、スマートロックの導入などの対策が有効です。さらに、不動産会社と緊密に連携し、定期巡回や内覧調整、トラブル時のサポートなどを依頼すれば、売り主が一人でリスクと対峙する状況を避けられます。
十分な防犯策を講じることで物件自体の印象も良くなり、買主から「管理が行き届いている」という安心感を与えられるのもメリットです。結果的に、売り主と買主の双方が安全で快適にやり取りし、納得のいく条件でスムーズな売却を実現することにつながります。
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