リースバックのメリット・デメリットとは?注意すべきポイント
リースバックは不動産売却後も元所有者が住み続ける制度であり、「セール・アンド・リースバック」とも称されます。賃貸契約を通じて家賃を支払いながら居住が可能で、住宅ローンの返済困難や老後の資金不足の対策に使われます。所有権は移転するが、売却価格が市場より低くなるリスクや、定期借家契約の更新条件に注意が必要です。
目次
リースバックとは?
リースバックは、不動産を売却した後も元の所有者がその不動産を引き続き利用できる仕組みです。具体的には、自宅を売却し、その買主と建物賃貸借契約を結ぶことで、売却後も引っ越しせずに住み続けることができます。
この方法は、住宅ローンの返済が困難で現在の家に住み続けたい場合や、老後の資金不足で住み慣れた家を手放したくない場合、まとまった資金が必要で引っ越しを避けたい場合などに適しています。
◇リースバックの仕組み
リースバックは、「セール・アンド・リースバック」とも呼ばれます。具体的には、リースバック利用者は自宅を売却し、リースバック事業者から売買代金を受け取ります。その後、リースバック利用者はリースバック事業者と建物賃貸借契約を締結し、売却後もそのまま自宅に住み続けます。
この間、リースバック利用者は定期的に家賃を支払います。リースバックを提供するのは主に不動産会社やファイナンス会社で、売買契約の成立後には一括で売買代金が支払われ、売主は引き続き家賃を支払いつつ自宅に住み続けることが可能です。この制度により、自宅を現金化しながらも住環境を維持できる利点があります。
◇リバースモーゲージとの違い
リースバックとリバースモーゲージは、どちらも自宅に住み続けながら老後資金を得る手段として比較されますが、根本的には異なるサービスです。リースバックは不動産売却と賃貸借契約を結び、所有権が移転し、年齢制限もなく資金使途も自由です。
一方、リバースモーゲージはローン商品であり、年齢制限があり借り入れが発生し、自宅の所有権は維持されたまま生活資金に利用されます。
リースバックのメリットとは?
◇売却後も同じ家に住み続けられる
所有している自宅を第三者に売却し、その後リース契約を結ぶことで、引っ越しをせずに賃料を支払いながら住み続けることができます。高齢者や老後の資金確保を考える人々にとって便利な選択肢です。
◇支出が一定
リースバックでは、自宅を売却して所有者がリースバック運営会社に移ることで、管理費や固定資産税、火災保険、地震保険などの費用が不要になります。代わりに、毎月一定の家賃(リース料)を支払うだけで済み、月々の支出が定額化されます。これにより、費用の見積もりが容易になり、家計の管理がより効率的に行えます。
◇家を所有するリスクがなくなる
リースバックを利用すると、自宅の所有者がリースバック運営会社に移り、自宅を所有することでのさまざまなリスクを回避できます。例えば、突発的な災害による不動産価格の下落や建物の損壊リスク、特に戸建て住宅の場合の影響を受けやすい点が挙げられます。
また、住宅ローンの金利上昇による返済増加のリスクもありますが、リースバックではこれらのリスクが全てリースバック運営会社に移行します。そのため、安定した住居費用の支払いで生活が予測しやすくなります。
リースバックのデメリットとは?
◇売却価格が安くなる
リースバックを利用して不動産を売却する場合、売却価格が相場よりも安くなる傾向があります。これは、リースバック業者が最終的に利益を得るために、契約が終了した後に買い取った不動産を売却することを目的としているためです。そのため、業者は取得価格をできるだけ抑えようとします。
◇家賃を払う必要がある
リースバックを利用すると、自宅を売却した後も建物賃貸借契約を通じてそのまま住み続けられますが、毎月一定の家賃を支払う必要があります。この家賃は、物件の築年数や立地などの条件によって決まり、一般的には売却価格を基準に地域の家賃相場から期待される利回りで設定されます。
売却価格が高ければ家賃も高くなる傾向があり、買主との交渉次第で相場よりも高く設定されることもあります。したがって、売却前の交渉は慎重に進める必要があります。
◇ずっと住み続けることはできない
リースバックでは、建物賃貸借契約の条件によっては、必ずしも長期間住み続けられるわけではありません。特に、賃貸期間が定められている「定期借家契約」の場合、所定の賃貸期間が満了すると、貸主が再契約を認めない限り、借主は退去しなければなりません。
リースバックを利用して売却後も長く住み続けたい場合は、賃貸借契約を更新できる「普通賃貸借契約」を採用しているリースバック事業者と契約することが重要です。
リースバックで注意すべきポイントとは?
画像出典:フォトAC
◇契約内容の確認
リースバックを利用する際には、契約の種類、契約期間、敷金・礼金などの初期費用、そして再契約の条件などを事前に確認することが重要です。売買代金に焦点が集まりがちですが、将来の居住計画や契約条件の詳細を明確にすることで、不安を解消し、後悔しない選択をするための基盤を築くことができます。
契約書の内容を丁寧にチェックし、重要事項について充分に理解しておくことが大切です。
◇信頼できる不動産会社を選ぶ
リースバックを利用する際には、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。リースバック会社は売却先であり、その後の貸主としても長期間関わることになるため、安心して取引できるパートナーを選ぶ必要があります。疑問点があれば担当者に確認し、経験豊富で丁寧な対応ができる人物を選ぶことが重要です。
◇特典や優待サービスの確認
リースバックを利用する際には、特典や優待サービスの有無を確認することが重要です。一部のリースバック会社では、ホームセキュリティの提供やレジャー施設の割引など、契約者向けの特典を用意しています。これらのサービスは会社によって異なるため、事前に内容を確認しておくことが推奨されます。
自宅を売却した後も安心して生活を送れるような充実したサービスを提供している会社を選ぶことで、リースバック利用の満足度が高まるでしょう。特典や優待サービスが豊富な会社を選ぶことで、快適で安心なリースバック生活を実現することが可能です。
リースバックは不動産を売却した後も元所有者が住み続ける仕組みであり、「セール・アンド・リースバック」とも呼ばれます。売却後に建物を賃貸借契約で借り、家賃を支払いながら住むことができます。住宅ローン返済が難しい場合や老後の資金不足を補うために利用されます。
所有権は移転し、賃貸契約を結ぶことで安定した居住環境を保てますが、売却価格が市場価格より低くなるリスクや、定期借家契約の場合は契約更新の制約がある点に注意が必要です。信頼できる不動産会社を選び、契約内容や特典をよく確認することが重要です。