任意売却を選ぶ際の注意点とは?メリット・デメリット
任意売却は債務者が自主的に不動産を売り、その売却代金で債務を一部返済する手法です。競売と異なり、売主が売却の条件や時期を調整できるため、市場価格に近い額での売却が可能です。しかし、金融機関との合意が必要で手続きが複雑であり、対応する不動産会社が限られるため、成功させるには事前準備と適切なパートナー選びが重要です。
目次
任意売却とは?
任意売却とは、債務者が住宅ローンなどの返済に支障をきたし、金融機関との合意のもとで不動産を売却する手法です。債務者は自らの意思で不動産を売却し、その売却代金で債務を一部解決することが可能です。
◇競売との違い
任意売却は、債務者が売却のタイミングや条件を調整でき、制御権を持ちます。一方、競売は債権者が法的手続きを通じて強制的に不動産を売却し、裁判所が介入します。債務者の同意は不要で、売却価格は市場価格より低くなることが多く、債務全額の回収が難しいです。
したがって、任意売却は売主の意思を反映し、競売は裁判所が管理する点が大きな違いです。
任意売却のメリットとは?
◇相場と近い価格で売却できる
任意売却は市場価格に近い価格で不動産を売却できる可能性が高く、通常市場価格の80~90%で売却されます。これは債務者が金融機関と合意し、市場価格を目指して売却するためです。
一方、競売では市場価格の約50~70%程度で売却されることが多く、売却価格が低くなる傾向があります。任意売却ではより高い価格で売却できるため、債務者は残債の返済に充てやすく、ローン完済の可能性が高まります。
◇所有者の情報が周囲に流れない
任意売却では、物件所有者の情報は公開されず、売主が自らの意思で売却を進めるためプライバシーが保護されます。一方、競売は裁判所が強制的に不動産を売却するため、裁判所のWebサイトや公告で所在地や権利関係、物件写真などが公表され、所有者の経済的な苦境が周囲に知られる可能性が高まります。
このため、所有者が経済状況を公にされたくない場合、任意売却が選ばれることがあります。
◇引越しの負担を軽減できる
任意売却では、売主(債務者)は金融機関との合意を通じて売却条件や売却資金の配分を調整できます。売却代金から債務返済を優先し、残った資金を引越し費用などの諸費用に充てることが可能です。これにより、売主は自己負担を軽減できる場合があります。
このような取り決めは事例によりますが、任意売却は売主にとって柔軟で経済的負担を和らげる手段となります。
任意売却のデメリットとは?
◇金融機関との手続きが必要
任意売却は、金融機関との合意が必要な手続きです。債務者は、まず抵当権を持つ金融機関に任意売却の意向を伝え、売却条件や代金の配分について交渉します。しかし、金融機関が消極的な場合もあり、特に債務が大きい場合は競売が有利とされることがあります。
任意売却を実現するためには、金融機関との調整が不可欠であり、売主は積極的に行動し、同意を得る必要があります。
◇対応している不動産会社が少ない
任意売却には、対応する不動産会社が少ないというデメリットがあります。これは、売主と金融機関との間での交渉や合意が必要であり、通常の不動産売買とは異なるためです。
一般的な売買では売主が自由に不動産会社を選び、市場に出すことができますが、任意売却では売主が債務を抱えており、その債務を回収するために金融機関の同意を得る必要があります。そのため、任意売却に対応できる不動産会社は限られ、特定の条件やプロセスに熟知していることが求められます。
また、任意売却は通常の売買よりも手続きが複雑であり、売主や金融機関との調整が必要です。このため、一般の不動産会社では対応に不慣れであり、適切なサポートを提供できない場合があります。
任意売却を選んだ際に注意すべきポイントとは?
画像出典:フォトAC
◇早急に準備を始める
任意売却を成功させるためには、早急に準備を始めることが鍵です。この手続きは、まず金融機関に相談し許可を得てから進めるもので、許可が得られたらできるだけ迅速に売却活動をスタートさせる必要があります。
不動産売却で得た資金は住宅ローンの残債を優先的に返済しますが、残債を上回る売却価格を得ることは保証されていません。そのため、売却活動を早期に始め、十分な時間を確保することが不可欠です。
早期の売却開始は多くの買い手にアプローチし、希望に近い価格での売却を促進する一方で、過度に高い価格設定は売れ行きを損なうリスクがあるため、金融機関と相談しながら相場に応じた価格設定を検討することが重要です。
◇任意売却が得意な不動産会社を選ぶ
任意売却を成功させるためには、豊富な任意売却の実績がある不動産会社を選ぶことが重要です。任意売却は通常の不動産取引よりも複雑で、法的な知識や交渉力が必要です。適切な不動産会社を選ぶためには、まず法律の専門家との連携が確保されているかを確認することが重要です。これにより、法的な問題に対応できる体制が整います。
さらに、任意売却の経験と実績が豊富な会社を選ぶことで、手続きを効率的に進めることができ、望ましい結果を得やすくなります。これらのポイントを慎重に考慮し、信頼できる不動産会社を選ぶことで、任意売却の手続きを円滑に進めることができます。
◇金融機関との取引が難しくなる可能性がある
住宅ローンの滞納は信用情報機関に遅延情報として登録されるリスクがあります。通常、返済を3回以上滞納した場合に登録されることが多く、これが個人の信用情報に影響を与えます。
登録された遅延情報は最大で5年間残存し、その間は新たな借入やクレジットカードの審査に不利な状況になることがあります。これにより、将来の金融取引に制限が生じ、生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
したがって、住宅ローンの滞納は避けるべきであり、返済計画の遵守や早期の相談、適切な対策が重要です。
◇期限がある
任意売却には期限があり、金融機関の許可も一時的なものであるため、迅速な手続きが求められます。債権者は貸し倒れを防ぐために任意売却を許可する一方で、競売の手続きも同時に進めることがあります。
したがって、任意売却を開始しても買い手が見つからず時間が経過すると、最終的には競売に移行する可能性があります。一般的に、任意売却の期限は競売の入札開始日の前日までとされ、この期間内に決済と引き渡しを完了させなければなりません。
成功させるためには、大田区や品川区で迅速な不動産会社の選定や適切な売り出し価格の設定、そして早急な売却手続きの進行が不可欠です。
まとめ
任意売却は債務者が自主的に不動産を売却し、その代金で債務を一部解消する手法です。競売と異なり、債務者が売却の時期や条件を調整できるため、市場価格に近い額での売却が可能です。
プライバシー保護や引越し費用の充当も利点ですが、金融機関との合意が必要で手続きが複雑な点や、対応する不動産会社が限られることが課題です。任意売却を成功させるには早期の準備と適切な不動産会社の選定が不可欠です。