遠方にある不動産を売却する方法と不動産売却時の注意点
2025年問題は、団塊世代が後期高齢者となることで、相続件数の増加と空き家の増加が予想される問題です。これにより、不動産市場は影響を受け、特に地方では不動産価値の下落が懸念されます。
遠方にある不動産を放置する主なリスクとしては、資産価値の低下、特定空家に指定される可能性、損害賠償責任、売れ残りのリスクなどです。遠方不動産を現地に行かず売却する方法としては、持ち回り契約、代理人を立てる方法、司法書士の利用などがあります。
目次
相続不動産の増加が予想される
2025年問題は、団塊世代が後期高齢者となり、社会保障費の増加や労働力不足が懸念される問題です。2025年問題は、不動産市場にも影響を与え、相続件数が増加し、空き家の売却が増えると予測されています。
こちらでは、大田区・品川区で空き家にお困りの方のために、不動産市場における2025年問題ついて、詳しくご紹介いたします。
◇不動産市場に影響を与える2025年問題とは
2025年問題とは、団塊世代と呼ばれる1947〜1949年生まれの方々が後期高齢者となることにより、社会保障費用の爆発的な増加や労働力不足が懸念される社会問題のことです。
団塊世代が75歳を迎える2025年頃から、相続件数が本格的に増加し始めます。そのため、相続による空き家が増え、空き家の売却も増加していくと予想されます。その一方で、不動産を購入する30代の人口が減少していきます。空き家は増えるのに、人口が減っていくため2025年以降は、地方を中心に不動産の価値が下がると予測されます。
◇相続登記申請件数も増加傾向
2022年5月〜2023年4月と2023年5月〜2024年4月の期間を対象に行われた調査によると、19都道府県で20%以上の相続登記申請件数の増加が見られました。
この結果は、2024年4月1日に不動産を相続した場合は相続登記を義務化すると法律で定められたことも要因のひとつですが、相続物件が増加していることが分かります。
遠方にある不動産を放置しておくリスク
遠方にある不動産を放置しておくと、さまざまなリスクが生じる可能性があります。例えば、資産価値が下がる可能性がある、特定空き家に指定される可能性がある、損害賠償責任を負う可能性がある、売れ残る可能性が高くなるといわれています。
こちらでは、遠方にある不動産を放置しておくリスクについて、それぞれ、詳しくご紹介いたします。
◇資産価値が下がる
不動産は月日が経過すると、資産価値が低下していきます。また、管理が行き届いていない不動産の場合などは劣化が速い傾向にあるといわれており、さらに資産価値が落ち込む要因のひとつであるといえます。資産価値が下がると、売却価格もまた下落するため、売却をご検討中の方は注意が必要です。
◇特定空家に指定される
「空家等対策特別措置法」によれば、特定空家とは以下のような空き家を指します。
・放置すると倒壊などで著しく保安上の危険を招く恐れがある状態
・衛生面で著しく有害となる恐れがある状態
・さらに「適切な管理が行われていないため、景観を著しく損なっている状態
・周辺の生活環境を保護するために放置すべきでない状態
特定空家に指定されると、自治体から「勧告」を受けることがあります。この段階で、改善がされない場合、「住宅用地の特例措置」の対象から外され、固定資産税の優遇措置が適用されなくなります。その結果、固定資産税額は更地状態に近い額に引き上げられ、最大で6倍になることもあります。
さらに、「命令」に従わず改善をしない場合、違反として最大50万円以下の過料が科せられることがあります。
◇損害賠償責任を負うリスクがある
老朽化が進んだ不動産は、台風や地震などの自然災害で倒壊するおそれがあります。その際、人に怪我を負わせてしまったり、物を壊したりしてしまった場合は損害賠償責任を負わなければなりません。場合によっては多額の賠償金の支払いを求められる可能性があります。
◇売れ残る可能性が高くなる
前章で記載したように、2025年以降、日本全国で空き家が増加すると予想されています。その一方で、少子化により購入希望者は減少するため、不動産を売り出しても売れ残ってしまう可能性が高いといえるでしょう。
遠方にある不動産を現地に行かずに売却する方法
2025年問題を考えると、早めの売却が推奨されますが、遠方にあって売却が難しいという方も多いのではないでしょうか。しかし、不動産は現地に行かずとも、売却することが可能です。遠方にある不動産を売却する方法はいくつか挙げられます。
こちらでは、遠方にある不動産を現地に行かずに売却する方法について、それぞれ、詳しくご紹介いたします。
◇持ち回り契約を選択する
持ち回り契約とは、不動産売却時に不動産会社が売主と買主を別々に訪問して、売買契約を締結する売却方法のことを指します。遠方にある不動産を売却する場合の他にも、売主と買主のスケジュールが合わない場合などに選択される方法のひとつです。
なお、持ち回り契約をご希望される場合は、信頼度の高い不動産会社への依頼することが重要です。
◇代理人を立てる
委任を受けた代理人が、不動産を売却します。代理人は、契約を締結したり、他の法的手続きを行ったりできるため、トラブルを防ぐために、親族や法律の専門家など信頼できる代理人を選びことが推奨されます。
代理人に不動産売買契約の手続きを依頼するためには、代理権委任状が必要です。
◇司法書士に代理を依頼する
不動産取引では詐欺被害のリスクがありますが、司法書士に代理を依頼することで、トラブルを未然に防ぐことができます。事前の準備や権利関係の調査、公的書類の収集などを通じて、詐欺防止を図れるためです。
また、不動産売却で必要となる名義変更の手続きを依頼することも可能です。
遠方にある不動産を売却する際の注意点
現地に行かず、遠方にある不動産を売却する場合は注意すべき点がいくつか挙げられます。例えば、一度は現地に足を運び不動産会社に会う、地元に精通した不動産会社を選ぶ、書類の取り扱いに細心の注意を払うなどがそれにあたります。
こちらでは、遠方にある不動産を売却する際の注意点について、それぞれ、詳しくご紹介いたします。
◇一度は現地に足を運び不動産会社に会う
不動産会社との打ち合わせはオンラインでも行えますが、一度は現地に足を運び、不動産会社と対面しましょう。これにより、画面越しではわからない不動産会社の雰囲気などが確認できます。
遠方にある不動産の場合、一度も不動産会社と会わずに売却を決める方もいらっしゃいます。しかし、そういった場合は問題が発生した際に後悔する可能性が非常に高いです。そのため、一度は現地に足を運び、信頼できる不動産会社であるかどうかを確認するとよいでしょう。
◇地元に精通した不動産会社を選ぶ
不動産の売却をご検討中の方の中には、全国規模で展開している大手不動産会社のほうがよいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際には、大手不動産会社よりも地元に精通した不動産会社のほうがよい結果を得られる可能性が高いです。その理由として、地元に精通した不動産会社であれば、大手不動産会社が持っていない有益な情報を持っている可能性が非常に高いためです。
◇書類の取り扱いに細心の注意を払う
不動産売却時に必要となる書類として、登記簿謄本、固定資産税の納税証明書、物件の図面、設備仕様書などが挙げられます。郵送では、紛失するおそれがあるため、書類の取り扱いに注意が必要です。
書類を郵送する際は、信頼性の高い配送サービスを利用することが重要です。追跡機能を備えたサービスを選ぶことで、書類の配送状況を確認でき、手続きを安心して進められます。
2025年問題は、団塊世代の後期高齢者化に伴い、相続件数や空き家の増加が予想される社会問題です。これにより、特に地方で不動産市場に影響が出ることが懸念されています。相続不動産の増加とともに、空き家が増え、売却も進むと予想されていますが、人口減少により不動産の需要が減少し、特に地方での不動産価値の下落が懸念されます。
また、遠方の不動産を放置すると、資産価値の低下、特定空家指定、損害賠償責任、売れ残りのリスクがあります。特に老朽化した不動産は災害による倒壊リスクや管理不十分での空き家指定が問題となり、固定資産税の引き上げや過料の可能性もあります。
2025年問題に伴い、不要な不動産は、早期の不動産売却が推奨されます。遠方にある不動産の売却方法としては、持ち回り契約、代理人を立てる、司法書士に依頼する方法があります。これらを利用すれば、現地に行かずに売却することが可能です。売却時には信頼できる不動産会社を選び、書類の取り扱いにも注意が必要です。
特に注意点としては、現地に一度足を運び、不動産会社と対面での打ち合わせを行うことが重要です。また、地元に精通した不動産会社の選定も、売却を成功させるために有効です。重要書類を送付する際は、信頼性の高い配送サービスを利用することが重要です。